永井美里 インタビュー (2008/9)

永井美里さんがAAPAに初めて参加したときの、きっかけを教えてください。

永井 高校を卒業した後、イギリスのMIDDLESEX大学のダンス学部に留学していました。イギリスから帰国することを決めたとき、日本に帰ったら自分はどうやってダンスを続けられるのか、何ができるのかというのがまったく見えない状態でした。私はイギリスでコンテンポラリーダンスを始めたので、日本でそれがどのように受け入れられているのか、どのように行われているのか状況が見えなかったし、舞台関係の知り合いもごくわずかでした。そこで舞台が好きな高校時代の友達に、「何か情報があったらなんでもいいので教えて」とメールで相談したところ、「自分の大学の先輩がおもしろいことをしているよ」と返信してくれて、AAPAのことを紹介してくれました。

そしてAAPAのwebサイトを見て興味を持ち、代表の上本さんにメールをして、帰国をして数日後の2006年7月末に、上本さんと会って話をしました。このとき、「12月になにかやろうと考えている」という話が上本さんからあり、そこで一緒に何かできないかという話になって、そこからAAPAでの活動が始まりました。

―AAPAでの活動を続けている理由を、聞かせていただけますか。

永井 イギリスにいるときに「サイト・スペシフィック」と呼ばれる劇場外で行なわれるダンスを見たり、自分が参加したりする機会があり、周りからいろんな感覚を受けながら踊っていくことが楽しくて、劇場外で踊ることに興味を持つようになりました。またDV8やローザスなどのビデオ作品の中で、日常の風景の中でダンスが行われているのを見て、おもしろいと感じていました。そしてもう一つ、私が劇場外で踊ることに興味を持ったきっかけとして、私が感じる劇場と日常生活との距離を、もっと縮めるにはどうしたら良いだろうという思いがありました。劇場でお客さんが見に来てくれるのを待つのではなく、ダンサーや振付家が自分達から日常生活に入っていって、ふとダンスに遭遇するきっかけをつくっていけたらいいなと思っていました。こういったことが、AAPAの活動を続けている理由に繋がっていると思います。

それとAAPAで自分とまったく違うバックグラウンドをもっている人達と創作をして、メンバーにダンスの意図を話したり説明したりすることは、自分が何を普段の生活の中で感じているのか、ダンスをする上で自分にとって何が大切で、何に興味があるのかということに向き合うための、きっかけになっている気がします。そして、動き(ジェスチャー)とダンスの重なりについて、様々にある音について、日常空間と舞台空間の特性についてなど、ダンス作品の創作の中にある大切な要素を見つめ直したり、新たに試したりする場になっています。それぞれ違う分野ではあるけれど、一緒に活動をしていくなかで、興味のある部分は似ているのかもしれないという気がしてきていて、今は自分ひとりではできないおもしろいことができるのではと思い、活動をともにしています。

―AAPAでの永井さんの役割は、どういったものですか?

永井 初めてAAPAに参加したときは、『Living room』という自分の作品をAAPAという場をかりて創作・発表させてもらう形でしたが、その後のAAPAへの関わり方は、参加する企画ごとに変わってきています。

今は、企画としてのテーマや作品の構成を、自分なりの角度から掘り下げて、ダンスを通じ、身体を使って目に見えるものにしていくことだとおもっています。最初に提示されるイメージ、テーマ、言葉といったものは、それぞれの作家の頭の中にある目に見えない、触れられないもの。それを身体や振り・動きによって写し出し、創作過程の中で作家に提供して、ダンサーとして演出によって作りあげられた世界の中で説得力のあるパフォーマンスをしていくことが、自分の役割なのだと思います。

―AAPA以外では、どんなことをしてますか?

永井 普段はアルバイトをしながら、自分のための稽古と舞台公演のためのリハーサルをしています。稽古では、気になる振付家やダンサーの方のワークショップに行ったり、最近はコンタクト・インプロビゼーションのジャムにも時々行ったりしています。いろんな人と出会えるし、自分とまったくタイプの違うダンサーと関わりながら一緒に踊るのは刺激的で勉強になります。ダンサーとしては、杏奈さんの作品への出演や、中村恩恵さんのスタジオでのショーイングへの参加、ニブロールのスタジオでのソロ作品の創作ワークショップ(2008年12月にショーイング予定)に参加しています。

また、イギリスの大学時代にお世話になったクリストファー・バナーマン教授が、日本のコンテンポラリーダンスに「地域・社会・教育のためのダンス(コミュニティ・ダンス)」という視点でどのような活動が見られるか、日本のリサーチ・チームと共同で調査をしていて、そのアシスタントと通訳をしています。それと今年は、年齢・経験・能力に関わらず誰もが一緒に踊ることができるコンタクト・インプロビゼーションの魅力を伝えていくことを目的にしている、東京コンタクト・インプロビゼーション・フェスティバルで制作補佐と海外講師の通訳をしました。

あと、今は横浜で週に一度ずつバレエとストレッチのクラスを教えていて、8月には大倉山のスタジオで単発のワークショップをやらせてもらえることになったので、これから定期的に自分のワークショップやクラスを行なっていければと思っています。

―コンテンポラリーダンスについて、様々な活動をされているんですね。今、特に興味があること、これからやりたいことは何ですか?

永井 今すでにきまっている、AAPAの次回作や他の振付家の方の出演作品、自身のソロ作品の創作を、一つ一つ大切に作っていくことで、これからもっと自分と作品との関係を深めていけるようになりたいです。

また自分が踊ることや創作することとは別に、どうしたらダンスをもっと誰にでも馴染みのあるものにできるのかということに興味があって、それをどうしたら人に伝えていけるか考えています。最近、ふとした瞬間に川沿いでバーベキューをしている人達を見ていて、野外でダンスのジャム&バーベキューみたいなことをやりたいな、と思いました(笑)

―それは楽しそうですね(笑) 今後の永井さんの活動、楽しみにしています。

(インタビュー: 山本ゆの/AAPA制作部)

Copyright (C) 2004-2015 AAPA. All Rights Reserved.