酒井幸菜 酒井 幸菜 Yukina SAKAI
1985年生まれ、神奈川県出身。5歳よりモダンダンスを学び、高校で振付けを始める。近作では「歩く」「寝返りを打つ」といったシンプルな日常行為を出発点にエネルギーを極限まで高め、その先に突き抜けようとする「身ひとつの真っ向勝負」に挑む。新作『Noon』(2006)は、「踊りに行くぜ!!vol.7」(茅ヶ崎・大阪・新潟・東京)、「アウェイ街区(横浜・ZAIM)」にて上演。現在、東京芸術大学音楽環境創造科に在籍。










酒井幸菜
『Noon』(2006)










酒井幸菜










酒井幸菜










酒井幸菜










酒井幸菜
撮影地:ZAIM本館
酒井幸菜 直前コメント+Q&A

――ダンスとの出会いを教えてください。
酒井  母に連れられてダンススタジオに通い始めたのは5歳のときでしたが、それまでも、とにかく人前で歌ったり踊ったりするのが大好きで、幼稚園でもデパートでもスペースを見つけてはよく踊っていました。

――中学時代は、ダンスとどのようなつきあい方をしていましたか?
酒井  小学校6年生の時に茅ヶ崎の市民ミュージカルに出演したのがきっかけで、中学時代はダンスよりもミュージカルに夢中でした。この頃は“舞台女優になる!”と頑張っていました(笑)

――高校時代に振付を始めたとのことですが、そのきっかけは?
酒井  私の学年はクラシックやモダンをやってきた人が多く、仲間を集めて新しくダンス部を立ち上げました。その中で、さまざまなバックグラウンドをもち、身体も全然違う人たちを扱ってひとつの作品にまとめていくことに興味をもったのが、振付を始めたきっかけです。

――ロッカーでのダンスパフォーマンスを行ったそうですが、それはどのような企画・作品だったのでしょうか?
酒井  高校卒業間際(しかも受験真っ盛り!)に、“まだ誰も踊ったことのないところで踊ってみたい。日常にダンスの身体を投げ込んでみたい”と思って『学校中で踊ってみよう企画~ロッカー編』という企画をしました。普通の空間で突然ダンスが始まったら人はどんな反応をするのだろうという興味から、10階建ての校舎には面白い空間がいくつかある中で、さまざまな人が多く行き交うロッカースペースを選びました。事前の告知はポスターのみで、能動的に公演を見ようという人ではなく、つまり偶然に居合わせてしまった人たちにもダンスの空間を提案しようとしました。パフォーマーにとっては予測不能な日常の人ごみに飛び込むということが、舞台で踊るのと全然違う感覚で、非常にスリリングで楽しかったです。まだまだ踊れるところはたくさんあるので、ぜひ『エレベーター編』『授業乱入編』など、やりたいです。

――“歩く”“寝返りを打つ”など、日常生活からヒントを得たダンスを創っていますが、それはなぜですか?
酒井  日常をダンスにしたいというスタンスではないのですが、シンプルな動きを追求した結果、日常的な行為が出発点になっているのだと思います。テクニックにとらわれない状態で、身体の内部に集中し、その緊張感が一瞬ぶれたときに垣間見える制御不可能な身体を捉えたいと思っています。

――現在、大学ではどのような学生生活を送っていますか?
酒井  必修は真面目に修めています(笑)。基本的に学外での活動が多いですが、映像演習の授業での課題などはメディアが違うからこそ見えてくる作品の創り方などもあり、実験的なことができて楽しいです。

――ZAIMでの公演を入れて『Noon』という作品を5箇所で踊っていますが、場所が変わるというのは、ダンスをするうえでどんな意味をもつことですか?
酒井  今回さまざまな所で上演しましたが、客席との距離は重要だということを実感しました。舞台に立っているときの距離感がそれぞれ場所で違っていて、それをどう馴染ませるか、ということを考えていました。

――“剥き出しにされたコアな身体を提示していきたい”とのことですが、それはなぜですか?
酒井  絵画でもなく、音楽でもなく、映画でも小説でもない。ダンスというメディアを何故私は選ぶのか。そのことを考えると、“目の前にある身体”ということは無視できません。物語や感情に入り込む為ではなく、身体をそのものとして扱うことで立ち現れるストーリーを見たいと思っています。“身体がある”そのことだけで、どこまでいけるのか。それに立ち向かっていくのが、私にとってダンスであることの意味だと思うからです。

――その“コアな身体”とは、具体的にどのような身体ですか?
酒井  役をまとうのではなく、純粋に身体そのものとして存在しうる身体のことを考えています。

――作品をつくる際、振付はどのように行っていますか?
酒井  私は頭の中で見えるイメージをアウトプットしていくことが多いですが、即興でさまざまに動いてみて動きを見つけていく作業をしたり、『Noon』のように先に素材を決めて、その発展のさせ方を探っていく時もあります。ただ、振付とダンサーを兼ねている自作のソロだと客観性に欠けてしまい、作家としてのスタンスが取りにくくなってしまうのが私の課題で、次作は“振付作品”をしっかり創ってみようと思っています。

――今回はZAIM屋上での公演。屋上という場所で踊ることについて、どう思いますか?
酒井  特別なシチュエーションなので、屋上という場から生まれるものを大切にしたいと思います。風とか匂いとか温度とか、街の音とともに、観ている人がそれぞれの身体を感じることができればいいなぁと思っています。

――他に、踊ってみたい場所、シチュエーションなどはありますか?
酒井  東京の地下放水路、湾岸線にある広い工場。最近は、だだっ広い大きな空間に惹かれます。

――今回の公演には、モチーフとしてある絵画作品のイメージが表現されますが、あなたの好きな絵(画家)は?
酒井  画家では、ロバート・ライマンが好きです。キャンバスに白を描いていく、非常にミニマルな作家です。彼の絵はキャンバスと絵の具と筆、絵画そのものの構造を剥き出しにしている点に惹かれます。

――好きな色は?
酒井  日に焼けた紙の色のもつ佇まい、茹でたキャベツの健康的な黄緑。

――座右の銘を教えてください。
酒井  寝る子は育つ …!!

――お気に入りの寿司ネタは? サンドイッチの中身は?
酒井  お寿司は真鯛、サンドイッチはアボカドが入っていると嬉しい。

――お忙しい中、ありがとうございました!


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